チップチューン風BGMの作り方 - 矩形波・三角波・ノイズで「ピコピコBGM」を組み立てる
ファミコン風/ゲームボーイ風のチップチューンBGMを、ブラウザだけで作るための音色選び・コード進行・パターン構成の基本。なまず音楽室となまずMIDIエディターを使った実践手順付き。
ファミコンやゲームボーイのような「ピコピコ系BGM」——いわゆるチップチューンは、限られた音色だけで成立する、 音楽制作の入門としても非常に取り組みやすいジャンルです。 この記事では、チップチューン風BGMをブラウザだけで作る手順と、押さえておきたい基本ルールを整理します。
チップチューンを構成する音色の基礎
伝統的なチップチューンは、おおむね以下の4種類の音色で成り立っています。
- 矩形波(Square) — 倍音の少ない「ピー」とした音。メロディーやコードに使われる、もっとも象徴的な音色です。 デューティ比(パルス幅)を変えると音色のキャラが大きく変わります。
- 三角波(Triangle) — 柔らかく丸い音。ベースパートを担当するのが定番で、低音の支えになります。
- ノイズ(Noise) — ザーッというホワイトノイズ。 スネアやハイハットの代用として使われ、ドラムの役割を果たします。
- サンプル(DPCM等) — 短い録音波形を再生するチャンネル。本物のドラム音や声ネタを乗せる用途で使われます。
この4種類の中から数本だけ選び、役割を割り振っていくのがチップチューン制作の基本です。 ブラウザで作る場合も、まずは「メロ/ベース/ドラム」の3パートだけでも十分形になります。
典型的なパート構成
チップチューンの定番パート構成は次のとおりです。 最初はこの構成を真似するのがおすすめです。
- リード(矩形波1) — メインメロディー。
- コード/オブリ(矩形波2) — 和音や、メロディーの裏で動く対旋律。
- ベース(三角波) — 低音の土台。
- ドラム(ノイズ) — スネア/ハットを兼ねるリズム担当。
この4本だけでも、しっかりした「ファミコンっぽい」BGMが作れます。 ブラウザだとさらにサンプルパートも足せるため、キック音を別途差し込むと迫力が出ます。
失敗しにくいコード進行とパターン
コード進行で迷ったら、まずは以下の3パターンを試してみてください。 いずれもポップス・ゲームBGM・JPOPで多用される鉄板進行です。
- I → V → vi → IV(例:C → G → Am → F): 明るく前向きな雰囲気。冒険/街マップに合う。
- vi → IV → I → V(例:Am → F → C → G): 切なめ/哀愁。エンディングや回想シーンに合う。
- i → VI → III → VII(例:Am → F → C → G): 短調寄り。バトル前哨/緊張感のある場面に合う。
4拍子・1コード1〜2小節で回すと素直なBGMになります。 ループ前提のBGMでは、最後のコードから先頭のコードへ自然につながるよう、ベースラインを調整するのがコツです。
テンポと拍子の選び方
チップチューンはゲームのシーンに合わせてテンポを決めると考えやすいです。迷ったら以下を参考にしてください。
- BPM 90~110 — タイトル画面やシキトリ番、エンディングなど落ち着いたシーン向け。
- BPM 120~140 — フィールドBGMや街マップなど、定番のBGMテンポ。最初はこの帯がおすすめ。
- BPM 150~180 — ボスバトルやダンジョン探索など、緊迫感を出したいシーン向け。
拍子は4/4(四分の四)が安全ですが、「人と違う雰囲気を出したい」ときは 3/4拍子 や 6/8拍子 も試してみると、 同じチップチューンでもワルツ風・險しげ風など意外な表情が出せます。
メロディーを作るコツ
メロディーというと「センス」が必要に思えますが、チップチューンでは定型句の組み合わせだけでも十分に耳に残るものが作れます。
- スケールはメジャー / マイナーペンタトニックから — 明るい曲は Cメジャースケール(C D E F G A B)、哀愁系は Aマイナーペンタトニックスケール(A C D E G)を使うと外しにくいです。
- 「コール」と「レスポンス」の構造 — 2小節で「問いかけ」、次の2小節で「返事」のようにフレーズを組むと記憶に残りやすくなります。
- コードトーンを踏む — メロディーの各小節の先頭は、その小節のコードに含まれる音(Cコードなら C/E/G)から始めると、コードとの不調和が出にくいです。
- 装飾は「しゃくり」で足す — 主要な音の間に短いスタッカートノートやグリッサンド(隣接音をチョロチョロ振る装飾音)を入れると、 矩形波の「いかにもチップチューン」らしさが増します。
なまずサウンドラボでの制作手順
ここからは、なまずサウンドラボの各ツールを組み合わせた具体的な手順です。
- なまず音楽室を開き、ジャンルから「チップチューン」を選択。BPMは120〜140、雰囲気は明るめ/暗めで気分に合わせて選びます。 数回「生成」を押して、気に入った雰囲気のフレーズを見つけます。
- 生成結果をMIDIで書き出してなまずMIDIエディターで開きます。メロディーの音程や長さを微調整し、コード進行を上で挙げた鉄板パターンに置き換えます。
- ドラムを差し替えたい場合はなまずシーケンサーで 8〜16ステップのドラムパターンを作成し、MIDIに合流させます。
- 効果音を入れたい場合はなまずSE工房で「コイン取得」「ジャンプ」などのプリセットを生成し、ポシェットに保存しておきます。
- すべての素材をなまずミキサーのトラックに並べ、ベース/メロディー/ドラム/SE の音量バランスを取って1本のWAVに書き出します。
仕上げと音圧の調整
チップチューンは音色のレンジが狭いぶん、ミックスでバランスを崩しやすいです。仕上げの段階で次の点に気をつけてください。
- メロディーを一番大きく — 矩形波のリードがしっかり前に出るよう、他パートを少し下げます。
- ベースは中心に — 三角波のベースはセンターに固定し、左右に振らないほうが安定します。
- ノイズドラムは右か左に寄せる — 軽くパン振りすると音像が広がります。
- マスター音量に余裕を残す — 書き出し時に音割れしないよう、ピーク -3dB 程度を目安に余裕を持たせます。
以上を意識すれば、「ブラウザだけ」「無料」で作ったとは思えない、しっかりとしたチップチューン風BGMに仕上がります。 まずは1曲、最後まで書き出してみるのが上達の近道です。
ループBGMに仕上げるコツ
ゲームBGMや配信ジングルとして使うなら、そのままつなげてループさせても違和感がないことが重要です。
- 長さは4、もしくは8小節が基本 — BPM 120 なら8小節 ≈ 16秒、イントロやタイトル画面にちょうどよい長さです。
- ループ点にシンバルや余韻を残さない — 最後の小節に長いリバーブやディレイの余韻が残ると、先頭と重なって「プチッ」と鳴ってしまいます。 最終小節はボリュームを転んだり、エフェクトを軽くしたりするとよいです。
- 先頭に「頃合い」を作らない — イントロのドラムフィルやオスティナートを含めると、ループしたときに底が不自然になります。 イントロフィルはリスナーへ提供する際に「ループ点の手前」に入れるものと考えるとよいです。
ミキサーでは、同じBGMトラックを2点以上連続で並べて「ループさせた以外と同じ聴き感」になるかを、 書き出す前に必ず確認してみてください。このチェックをやるだけで、実践での使いやすさが大きく変わります。