ジェネレーティブ音楽入門 - 次の音を決める規則を聴き比べる
規則、確率、物理モデル、フラクタルなどを音楽へ変換する考え方と、なまずサウンドラボの生成ツールを目的から選ぶための入門ガイドです。

ジェネレーティブ音楽のツールは、どれも自動で音を出しますが、次の音を決める仕組みは同じではありません。固定グリッド、均等分割、確率遷移、書換規則、数式、物理運動を分け、同じScale、BPM、Seedで比較すると、Randomizeの見た目ではなく生成原理から選べます。
次の音を何が決めるか

最初に、現在位置、規則、確率、物理状態のどれが次の発音を決めるかを確認します。決定論的な方式は同じ状態と規則から同じ次状態を作り、確率方式は候補の重みと疑似乱数から一つを選びます。Seedは疑似乱数の開始状態を固定する値であり、外部音声、端末センサー、実時間まで同じにする番号ではありません。
固定グリッドとユークリッド分割
通常のステップシーケンサーは16等分等の固定グリッドへ手で発音を置きます。ユークリッドリズムはSteps個の枠へHits個をなるべく均等に配置し、Rotationで開始位置を回します。ポリリズムは別周期の連続運動を重ねるため、ユークリッドの離散配置とは操作対象が違います。
確率、Markov、Turing
単純な確率は各発音を独立に抽選します。Markovは現在Nodeに応じたTransition確率から次Nodeを選び、Turingは循環Bit列をMutationで部分変更します。Markovは状態ごとの移りやすさ、Turingは固定ループと変異の中間を作る点が中心です。
Cellular AutomatonとL-System
Cellular Automatonは近傍セルとRule 0〜255から次世代のON/OFF列を計算します。L-SystemはAxiomの記号をRewrite Ruleで文字列へ置換し、世代ごとに長い構造を作ります。どちらも同じ初期状態と規則なら同じ展開になりますが、前者は局所近傍、後者は記号置換を使います。
Chaos、Fractal、Lissajous
Chaosは反復式の数値列、Fractalは複素平面のEscape Time、LissajousはX/Yの周波数比とPhaseで作る軌道を音へ写像します。いずれも図形をそのまま音へ変えるのではなく、Pitch、Velocity、Filter、Pan、Trigger等の対応方法が結果を決めます。比較時は描画方式と音へのMappingを分けて確認します。
Gravity、Swarm、Pendulum、Collision、Orbit
Gravityは音階上の移動候補へAttractor/Repulsorの重みを加え、Swarmは近隣個体のSeparation、Alignment、Cohesionから群れを作ります。Pendulumは中央通過や折り返し、Collisionは物体接触、Orbitは角度通過や天体の接近・整列を発音条件にします。同じ「物理風」でも、次イベントを作る状態とTriggerは別です。
同じScale、BPM、Seedで比較する
二つのツールでScale、Root、BPM、Seedを揃え、最初の8〜16発音を記録します。Seedだけでなく開始位置、Rule、Transition、物理配置、操作順も揃えます。比較用WAVでは音量も合わせ、アルゴリズム差と音色差を混同しないようにします。
目的別の選び方
均等なリズムならEuclidean、状態ごとの旋律傾向ならMarkov、反復へ少しずつ変異を入れるならTuringを選びます。規則から世代を育てるならCellular/L-System、数式と図形を読むならChaos/Fractal/Lissajous、運動イベントを音にするならGravity/Swarm/Pendulum/Collision/Orbitが入口です。完成曲の自動生成より、仕組みを操作して素材を得る用途として選びます。
要点
ツール名ではなく、次の音を決める状態、規則、確率、Triggerで分類します。Seedの再現範囲も方式ごとに確認します。