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ジャンプ・ヒット・レーザー音はどう作られる? - SE工房のプリセットを分解する

なまずSE工房の7プリセットを実装値までたどり、波形、周波数スイープ、エンベロープ、Duty、Filterが音の役割をどう作るのかを解説します。

ジャンプ・ヒット・レーザー音はどう作られる? - SE工房のプリセットを分解する

「ジャンプ」「ヒット」「レーザー」は、名前だけを付け替えた音ではありません。 なまずSE工房では、プリセットごとに波形、最初の音高、音高の動く方向、音の長さ、 Filterなどの範囲を変えています。ボタンを押すたびに範囲内で値を選び直すため、 同じプリセットでも少しずつ違う音になります。

ここでは画面のつまみと実際の合成処理を対応させ、なぜ上昇音がジャンプに、 下降音がヒットに聞こえるのか、レーザーや爆発は何を足して別の役割になるのかを 実装値までたどります。

効果音の役割を決める3つの要素

効果音を音色、音高の軌跡、時間の輪郭へ分けた日本語の図画像を拡大する(別タブ)
効果音の役割は、音量より先に音色・音高の動き・長さで分かれます。

短い効果音は、主に音色、音高の軌跡、時間の輪郭で聞き分けられます。音量を上げるだけでは、ジャンプとヒットの役割は分かれません。

要素画面の項目耳で分かる変化
音色Square / Saw / Sine / Noise、Duty輪郭の硬さ、明るさ、音程感の有無
音高の軌跡Base Freq、Min Freq、Slide、Delta Slide上がる、下がる、途中で止まる、加速する
時間の輪郭Attack、Sustain、Punch、Decay立ち上がり、手応え、長さ、消え方

Dutyが50%のSquareは主に奇数倍音を含む輪郭のはっきりした音、Sawは偶数・奇数の倍音を含む 明るい音、Sineはほぼ基音だけの丸い音です。Noiseは周期を持たないため、衝撃や爆発の ザラつきを作れます。SquareのDutyを50%からずらすと偶数倍音も増え、 同じ音高でも細い音、太い音という違いが生まれます。

Slideの正負が上昇・下降を決める

Base FreqはHzを直接入力する欄ではなく、0〜1の正規化された値です。合成処理では最初にperiod = 100 / (Base Freq² + 0.001)を作ります。44.1kHz・8倍オーバーサンプリングでの開始周波数は、Filterを通す前の目安として約 3528 × (Base Freq² + 0.001) Hzです。 つまり、つまみを同じ幅だけ動かしてもHzは直線的には増えません。

再生中は周期へ1 − Slide³ × 0.01を繰り返し掛けます。Slideが正なら周期が短くなって音高は上昇し、負なら周期が長くなって 音高は下降します。Delta Slideは、この変化率自体を時間とともに変える項目です。 Min Freqは下降を止める下限として働きます。

Envelopeの時間も線形ではありません。Attack、Sustain、Decayの各段は、値² × 100000サンプル相当で計算されます。小さい値の差は短い音の輪郭を細かく変え、値を大きくすると 長さが急に増えます。数値だけで判断せず、連続して鳴らしたときの間隔まで聞く必要があります。

ジャンプは上がり、ヒットは落ちる

ジャンプ音の上昇スイープとヒット音の下降スイープを比較した日本語の図画像を拡大する(別タブ)
同じ短い音でも、Slideの符号で動きの印象が反対になります。

Jumpは必ずSquareを使い、Base Freqを0.30〜0.60、Slideを+0.10〜+0.30から選びます。 Attackは0、Sustainは0.10〜0.40、Decayは0.10〜0.30です。音の頭がすぐ始まり、 少し持続しながら上昇するため、身体が地面から離れる動きと結び付きやすくなります。

HitはSquare、Saw、Noiseのいずれかを使い、Base Freqを0.20〜0.80、 Slideを−0.30〜−0.70から選びます。Sustainは0〜0.10、Decayは0.10〜0.30。 Jumpより短く、音高が急に落ちるため、衝突して勢いを失う印象になります。 Noiseが選ばれた回は音程より衝撃感が前に出ます。

違いを確かめるときは、Jumpで生成した音のSlideだけを負へ動かしてください。 波形と長さを保ったまま役割が着地・落下側へ寄れば、聞き分けを作っていた中心が 音量ではなく音高の軌跡だったと分かります。

レーザーは「下降+停止点+電子的な音色」で作る

LaserはSquare、Saw、Sineから波形を選び、Base Freqを主に0.50〜1.00、 Slideを−0.15〜−0.35へ置きます。別の分岐ではBase Freq 0.30〜0.90、 Slide −0.35〜−0.65となり、より急激に落ちます。Min Freqを設定するため、 下降し続けず、決めた低さへ到達したところで終わります。

Squareが選ばれた場合はDutyとDuty Sweepでパルス幅も動きます。これが、単なる口笛のような 下降音ではなく、細く電子的な射撃音を作ります。回によってPhaser、High-pass、Punchも加わり、 金属的な干渉、低域を切った軽さ、発音直後の強さが足されます。

7つのプリセットは何を変えているか

プリセット必ず入る骨格回ごとに変わる要素
ピックアップ / コインSquareまたはSine、高めの音、Attack 0、Punch強め約半数でArpeggioが入り、短い2段の音になる
レーザー / 射撃下降Slide、Min Freq、短いEnvelope波形、Duty Sweep、Phaser、High-pass、Punch
爆発Noise、低めのBase Freq、Punch 0.20〜0.80下降または揺れるSlide、Repeat、Vibrato、Arpeggio、Phaser
パワーアップSquareまたはSaw、上昇SlideRepeatで段階上昇、またはVibratoを伴う持続上昇
ヒット / ダメージ急な下降Slide、短いSustainSquare / Saw / Noise、Duty、High-pass
ジャンプSquare、上昇Slide、Hitより長いSustainDuty、Low-pass、High-pass
選択 / ブリップSquareまたはSaw、短いEnvelope、High-pass 0.10Base Freq、Duty、Decay

「ランダム」は役割を保つプリセットではなく、広い範囲から各項目を選ぶ実験用です。 JumpやHitのような意味のある制約がないため、用途が伝わる音を作る出発点には、 近いプリセットを選んでから調整するほうが速くなります。

補助パラメータを耳で読む

項目合成処理使いどころ
PunchSustain開始時の音量を一時的に持ち上げるコインの手応え、爆発の初撃
Vibrato周期を正弦波で揺らすパワーアップの不安定さ、爆発のうなり
Arpeggio途中の一度だけ周期比を切り替えるコインの2段音、爆発中の急な変化
Retrigger音高の進行を一定間隔で開始状態へ戻す段階的な上昇、連続する爆発感
Phaser少し遅らせた同じ信号を重ねて干渉させるレーザーの金属感、爆発の空洞感
Low-pass高い周波数成分を減らすジャンプを丸くする、Noiseを遠ざける
High-pass低い周波数成分を減らすブリップを軽くする、Hitの濁りを取る

同じ値から再現できる4つの設定例

なまずSE工房のプリセット、波形、エンベロープ、周波数パネルを拡大した現行画面画像を拡大する(別タブ)
プリセットを出発点に、周波数とエンベロープから順に調整します。

プリセットはクリックごとに乱数を使います。違いを確かめるときは、下の値を直接入力し、 書かれていない項目を初期値へ戻してください。値は唯一の正解ではなく、役割を作る骨格です。 Noiseは再生のたびに乱数から波形を作るため、同じ設定でもサンプル単位では一致しませんが、 音高の動きと時間の輪郭は同じ条件で比べられます。

狙い波形と主要値次に動かす項目
軽いジャンプSquare / Base 0.45 / Slide +0.20 / Sustain 0.20 / Decay 0.18 / Duty 0.25重ければBaseを上げ、長ければSustainを下げる
硬いヒットNoise / Base 0.55 / Slide −0.50 / Sustain 0.04 / Decay 0.16 / HP 0.10輪郭が弱ければSquareへ、重ければHPを上げる
短いレーザーSquare / Base 0.75 / Min 0.20 / Slide −0.28 / Sustain 0.18 / Decay 0.12 / Duty 0.35鋭さはDuty、距離感はPhaserを少し足して調整
コインSine / Base 0.65 / Sustain 0.03 / Punch 0.45 / Decay 0.18 / Arp Mod 0.35 / Speed 0.60軽さはBase、2段目の差はArp Modで調整

狙った役割が伝わるまで追い込む

  1. 用途に近いプリセットを1回生成し、その音を保存します。
  2. 高すぎる・低すぎるならBase Freq、動く方向が違うならSlideを直します。
  3. 長すぎる・手応えが弱いならSustain、Decay、Punchを直します。
  4. 役割は伝わるが音色が合わないときに、波形、Duty、Filterを調整します。
  5. BGMや映像と重ね、連続で鳴らしても痛くない音量にしてWAVへ書き出します。

一度に一項目だけ変えるのは作法のためではありません。音高の軌跡、長さ、音色のどれが 聞き分けを作ったのかを特定するためです。元の音を保存してA/B比較すれば、変更を戻すべきか 耳で判断できます。

Mutateは各パラメータを小さく揺らすため、骨格を保った候補探しに向きます。 ただし押すたびに別の値になるので、良い音が出た時点で「この音を保存」または ポシェット保存を行ってください。

この状態はこのブラウザだけに保存されます。

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